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映画 〜 今ドイツで人気のある作品〜


 映画館の入場料は平均5.9ユーロ(2006年)、週1回サービスデーがあることが多い。日本の映画館と比べたときの違いと言えば、二人がけのカップルベンチがあることや、本編前の宣伝部分が実に長く、これが終わったところでいったんアイス売りがやってくることだろうか。ユーロ高が続く現在のレートでも平均入場料は1000円前後。それならもっと気軽に映画に行くのではと思いきや、ドイツ映画界は長らく入場者の減少に苦しんでいる。2005年などは10年来の大打撃で入場者数が前年8割を切り(6030万人)、映画界は震え上がった。

 それについてはリメイクや続編に頼る傾向の映画自体に責任があるとする批評もあるが、やはりDVDやコンピュータゲームの普及、自宅スクリーン設備によって映画館に足を運ぶまでもなくなったというハード面の変化に負うところが大きいだろう。そのような状況であるため、2006年前半に興行成績が再び伸びをみせ、アメリカを始めとする外国作品に圧され続けてきたドイツ映画のシェアが約20%におよんだとき、関係者は「これ以上は望めない素晴らしい滑り出し」と胸を撫で下ろしたのだった。

 一方、2007年1月第3週の映画チャートで『クイーン』(日本公開2007年4月)と最上位を争っているのがダニー・レヴィ監督のコメディ映画『我が総統:本当に本当のアドルフ・ヒトラーの真実』である。

 ドイツ映画というと、ドイツ国内でも第二次世界大戦 や東西ドイツの分裂 、ベルリンの壁 、外国人労働者 やネオ・ナチなど現在もドイツが抱える社会・歴史問題を扱うものが注目されることが多い。これもそのひとつだが、ヒトラーを描くコメディとあって注目度は高い。ドイツ人にとってナチス時代は笑い飛ばせる性質のものではないのである。ユダヤ人大虐殺に対し罪悪感のあるドイツでヒトラーを笑うことは難しい。ヒトラーを描くコメディはチャップリンの『独裁者』を皮切りにこれまでにもあった。だが、それはあくまで独裁者としてのヒトラーやナチスを取り上げたもので、その人間性が問題になることはなかった。

 一方、ヒトラーを題材とするドイツ国内初のメジャー映画作品『ヒトラー〜最期の12日間』(2004年)では、彼が戦争の終わり頃に精神的にボロボロになっている様子が描かれ、その人間性に焦点があてられたが、この作品でさえヒトラー礼賛につながるのではと議論を巻き起こした。

 そのような社会背景があるがゆえに、ドイツで人気のコメディアン、ヘルゲ・シュナイダーの演じるおねしょのヒトラー、幼少時代のトラウマに耐えるヒトラー、愛人エバ・ブラウンとの性的不能に悩むヒトラーを見てみたいというドイツ人は多いだろう。レヴィ監督は、ヒトラーがうつ病に苦しんだこと、ナチスによる政権掌握の期間に演劇指導を受けていたという事実をもとに、観客が思わずニヤリとするエピソードをでっちあげた。しかし、まったくの作り話によって逆に真実に近づける部分はあるかもしれないと彼は言う。

 レヴィ監督はドイツに住む現代のユダヤ人生活をからかったコメディ映画『何でもツッカー!』で2005年にドイツ映画賞を全6部門受賞した。1957年スイス生まれの彼はユダヤ人で、1980年からベルリンで生活している。それゆえに扱えるテーマとも言えるだろう。このコメディ映画にドイツ人がどう反応するのか、今後の経過に注目したい。


チケット売り場

2人掛けのシートもある。

映画館内のカフェ

レヴィ監督



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●ハイデルベルク
旅情あふれる美しい街。背景には古城がそびえる。











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